本名が書かれていなくても開示請求はできますか?
【同定可能性とは】
インターネット上で名誉毀損やプライバシー侵害を主張する場合、まず問題となるのが「同定可能性」です。これは投稿内容が被害者を指していると周囲の人が認識できるかどうかを意味します。フルネームが書かれていなくても、「○○会社の店長」「夜職で△△と名乗っているAさん」など、該当人物だと分かる情報が含まれていれば同定可能性は肯定されやすくなります。
【判断基準】
裁判所は、「第三者、特に被害者の周囲の人が誰を指しているか分かるか」を重視します。たとえ一般の不特定多数にとって不明瞭でも、地域や業界内ではすぐに「○○さんだ」と分かれば要件を満たす場合があります。また、SNSなどで使われるハンドルネームや芸名・源氏名も、周辺事情との総合評価で本人が特定される場合には同定可能性が認められます。
【同定可能性が認められるとどうなるか】
被害者が名誉毀損やプライバシー侵害を受けたと主張し、削除請求や情報開示請求などを行う際、同定可能性が肯定されると手続が進めやすくなります。「誰の名誉が傷つけられたか」が特定できないと法的保護が及びにくいからです。一方、投稿内容があいまいで複数の人物に当てはまる場合には、同定可能性が否定される余地があります。詳しくは、以下の記事を参照して下さい。