医療機関の口コミ対策

インターネット上での誹謗中傷・風評被害にお悩みの方、ご相談ください

弁護士大熊 裕司
毎日多数の方からネット上の誹謗中傷・風評被害の相談を受けております。記事をお読みいただき、削除や訴訟、損害賠償などの対応をご検討の方はお問い合わせください。お問い合わせは無料です。誹謗中傷されている掲示板URLと該当レス番号もお伝えください。

電話対応時間 平日 午前9時~午後9時、土日祝 午前9時〜午後6時

1.はじめに:医療機関における口コミの重要性

医療機関にとって、「口コミ」は患者さんや利用者との信頼関係を築くうえで非常に重要な情報源です。従来、患者さん同士のクチコミは地域や知人の間で口頭により伝わっていましたが、インターネット・SNSの発展に伴い、口コミサイトや検索エンジンのレビュー欄などを通じて、短時間で広範囲に拡散される時代になりました。そうしたネット上の評価は、多くの人が医療機関を選ぶ基準にもなるため、日々の医療サービスの評価がダイレクトに目に見える形で表されると言っても過言ではありません。

特に、医療機関の口コミは以下の点で大きな影響を与えます。

  1. 集患効果
    病院やクリニックを初めて利用する患者さんの多くが、ネット上の口コミやレビューを参考にしており、「評判の良い医療機関」を探す際に必ず目を通すというデータもあります。ポジティブな口コミが一定数集まっている医療機関は、新規患者を獲得しやすくなる傾向が見られます。

  2. 信頼・安心感の獲得
    「実際に診療を受けた患者さんの声」という口コミは、公式ホームページなどの情報よりもリアリティがあり、信頼できると捉えられやすい傾向があります。患者が抱える不安や疑問を解消するための参考資料としての役割が大きく、口コミが良好であればあるほど、患者さんが受診を検討しやすくなるわけです。

  3. 医療サービスの改善材料
    ネット上の口コミを医療機関側がチェックすることで、自院のサービスや設備、スタッフの対応面など、現場レベルで改善すべき課題を把握する手がかりになります。満足度や不満点、要望が具体的に書かれている場合は、それをもとに施策を講じることで、より良い医療サービスの提供につなげることが可能です。

2.医療機関における口コミリスクとその特徴

とはいえ、口コミサイトやSNSはメリットばかりではありません。医療機関が直面しがちな主な口コミリスクとして、以下のような点が挙げられます。

  1. 事実誤認や誤解に基づく低評価
    医療行為について専門的な知識がない患者さんや、治療経過・症状の個人差を十分に認識していない利用者が、短絡的に「治療が効かなかった」「対応が冷たい」などと書き込み、真意が正しく伝わらないまま広がるケースがあります。口コミ内容は往々にして主観的であるため、医療機関側にとっては不当な評価と感じられることも少なくありません。

  2. 虚偽または悪意のある口コミ
    稀に、他院との競合、あるいは個人的な感情的トラブルが原因で、意図的に虚偽の口コミや誹謗中傷が投稿されるケースがあります。こうした悪質な書き込みは、医療機関の信用やイメージを著しく損なう可能性があり、早期に適切な対処を取らないと集患面でもマイナス影響を受けかねません。

  3. 炎上リスクと拡散速度
    ネット上では、一度「炎上」状態に陥ると驚くほどのスピードで情報が拡散し、収束させるのが難しくなります。特に医療分野は専門知識が絡むため、一部の事実誤認が瞬く間に「医療ミス」や「違法行為」などと誇張されて広がる危険があります。デマや憶測がSNSでバズると、患者だけでなく地域社会全体に不安を与える結果にもなりかねません。

3.口コミ管理が必要とされる背景

前述のとおり、医療機関の口コミは患者の獲得や信頼構築に大きな影響を及ぼします。口コミ管理が必要とされる背景には、以下のような点があります。

  • 患者側の情報収集手段の多様化
    病院を探す際に、「友人・知人の紹介」だけでなく「ネット検索」「SNSの口コミ」を参考にする割合が急増しました。実際に病院名とともに「評判」「口コミ」などのキーワードを検索すると、多数のレビューサイトやSNS投稿がヒットし、患者候補の目に留まりやすくなっています。

  • コミュニケーション手段としてのSNS利用の拡大
    患者同士がSNSやオンラインコミュニティで情報交換し、どの病院が良いか、どの医師の対応が親切かなどを共有する動きが活発化しています。こうした場でのコメントや評価は、医療機関が直接関与できない「クローズドな空間」でやり取りされることも多く、誤情報や否定的な情報が拡散するリスクが高まっています。

  • 医療機関への期待値の上昇
    医療サービスの質はもちろんのこと、スタッフの接遇や説明の分かりやすさ、待ち時間や設備の清潔感など、患者さんが重視するポイントは多岐にわたります。また、少子高齢化が進み、地域医療への関心が高まるなかで、より高度かつ丁寧な対応を求められる傾向が強まっています。その結果、少しでも期待を外れると厳しい書き込みが投稿されやすくなり、医療機関にとっては評判管理が欠かせない時代となりました。

4.医療機関が取り組むべき口コミ対策のポイント

(1) 定期的なモニタリング

まず、最も基本的な取り組みとして重要なのが「定期的なモニタリング」です。

  • 口コミサイトや検索エンジンのレビュー欄の定期チェック
    Googleビジネスプロフィールや大手口コミサイト、SNS上での自院名の言及をこまめに確認しましょう。一定の頻度でチェックすることで、早期に問題のある書き込みを発見できます。

  • エゴサーチ(自院の名前での検索)
    自院の公式名称だけでなく、略称や通称、院長名など複数のキーワードで検索してみることも重要です。患者さんは必ずしも正式名称で投稿するとは限らないため、想定外の名称や俗称が使われている可能性もあります。

(2) ネガティブ口コミへの誠実な対応

ネガティブな口コミに対しては、感情的に反論するのではなく、冷静かつ誠実な対応が求められます。

  • 事実関係の把握
    まずは投稿内容が事実に基づくものなのか、あるいは誤解や誇張が含まれているのかを丁寧に確認しましょう。万が一、院内でトラブルがあった場合は、当事者やスタッフにヒアリングを行い、事実関係を整理することが先決です。

  • 医療機関からの返信(リプライ)
    口コミサイトによっては、投稿への返信機能を用意している場合があります。誤解や事実誤認が明らかな場合には、相手を攻撃するのではなく、穏やかな言葉遣いで事実や経緯を説明する形を取るとよいでしょう。対応方針や改善の意思を示すことで、第三者に対しても誠実さをアピールできます。

  • プライバシー配慮
    医療機関が個別の患者情報を公の場で詳細に明かすことは、プライバシー保護や守秘義務の観点から問題が生じ得ます。返信にあたっては、個人情報や診療内容を公開しない範囲で事実を伝えるよう、十分に注意が必要です。

(3) 適切な削除依頼や法的手段の検討

悪意のある虚偽情報や名誉毀損的な内容が投稿された場合は、放置すると評判被害が拡大する恐れがあります。次のような手段を検討してみましょう。

  • 口コミサイトへの削除依頼
    運営会社のガイドラインに違反している書き込み(明らかな誹謗中傷やプライバシー侵害など)は、該当サイトに削除申請を行うことが可能です。申請の際は、具体的にどの部分が虚偽・誹謗にあたるのかを根拠とともに示すとスムーズに進みやすくなります。

  • プロバイダ責任制限法に基づく対応
    ネット上の誹謗中傷に対しては、プロバイダ責任制限法に基づき、投稿者情報の開示請求や削除請求が検討できます。ただし、医療機関が単独で手続きを進めるには専門知識が必要な場合も多いため、状況によっては弁護士等の専門家へ相談するとよいでしょう。

(4) スタッフ教育と接遇改善

そもそもネガティブ口コミの大半は、患者さんの体験(接遇面の不満、待ち時間の長さ、説明不足など)に基づくことが多いです。したがって、スタッフ教育やサービス体制を改善することで、否定的な評価を減らすことが期待できます。

  • 丁寧な説明とインフォームドコンセント
    医療内容をわかりやすく説明し、患者さんの疑問や不安を事前に解消することで、不満を抱かれにくい環境を整えられます。難しい医療用語は極力避け、患者さんが納得するまでコミュニケーションを図る姿勢を大切にしましょう。

  • スタッフの接遇研修
    医師や看護師だけでなく、受付や事務スタッフも含めた接遇研修は、患者さんの印象を大きく左右します。敬語の使い方、声かけのタイミング、笑顔での応対といった基本的な接遇スキルを定期的に見直し、教育を行うことが重要です。

  • 待ち時間対策・オンライン予約システムの導入
    待ち時間に関する不満が多い場合は、オンライン予約や事前受付システムの導入を検討し、混雑時間を可視化するなどの工夫を行うと効果的です。患者さんの待ち時間が減ることで、口コミ評価の向上につながる可能性があります。

5.医療機関の口コミ対策における法的留意点

口コミ対策を進めるうえで、医療機関は以下の法的側面に十分配慮しなければなりません。

  1. 個人情報保護と守秘義務
    医療従事者には、患者さんの診療情報や個人情報を守る義務があります。口コミへの返信や情報発信の際、事実を訂正したいと考えても、個別の治療内容や患者固有の情報を明示すると守秘義務違反を問われかねません。可能な範囲で簡潔に事実を述べ、トラブルの詳細は直接の対話や適切な場所で話し合うよう誘導することが望ましいです。

  2. ステルスマーケティングの禁止
    医療機関が自ら良い口コミを装って投稿したり、第三者を装って称賛コメントを書き込んだりすることは、いわゆるステルスマーケティングに該当し、信頼を大きく損ねる可能性があります。また、景品表示法や医療広告ガイドラインなどの観点からも、過度な広告表現は違法と判断される場合があるため、注意が必要です。

  3. 誹謗中傷への法的対応
    悪質な誹謗中傷や名誉毀損を放置すると、医療機関の評判が損なわれるだけでなく、患者さんが不安を抱き来院をためらう原因にもなります。必要に応じて弁護士に相談し、発信者情報開示請求や損害賠償請求など法的措置を視野に入れることも検討しましょう。

6.ポジティブ口コミを増やす取り組み

ネガティブ対策と同時に、ポジティブな口コミを増やす取り組みも大切です。日頃から患者さんに好印象を持ってもらうよう、以下の点を意識してみましょう。

  1. 患者満足度調査の実施
    アンケートやオンライン調査ツールを用いて、定期的に患者満足度を把握します。良い評価だけでなく、改善の余地がある点を把握し、実際に改善策を講じた後は、変化を患者さんにフィードバックすると良いでしょう。改善姿勢を示すことで、自然にポジティブな口コミが増える可能性があります。

  2. 地域貢献・広報活動
    地域の健康イベントやセミナー開催など、医療機関の取り組みをSNSやブログ、地元紙などで周知し、住民の健康意識向上に貢献する姿勢をアピールします。コミュニティへの貢献活動を積極的に行う医療機関は、親しみやすさと信頼を得やすく、口コミでも評価されやすい傾向がみられます。

  3. スタッフのモチベーション向上
    医療機関全体の雰囲気が良く、スタッフ一人ひとりが責任感とモチベーションを持って患者さんに接すれば、その雰囲気は自然と口コミにも反映されます。定期的な面談や勤務環境の改善を図り、スタッフが働きやすい環境を作ることが、結果的に患者さんの満足度につながります。

7.まとめ

医療機関にとって、インターネットやSNSを通じた口コミはもはや切り離せない要素です。良い評価が拡散されれば集患力アップにつながる一方、ネガティブな書き込みや誤情報が放置されると大きな信用低下につながる恐れがあり、患者数の減少や地域医療への影響まで及ぶ可能性も否定できません。こうした背景から、医療機関では以下のポイントを押さえた継続的な口コミ対策が求められます。

  • 定期的なモニタリングと早期発見
    口コミサイトやSNSをこまめにチェックし、問題のある書き込みがないかを把握する。

  • ネガティブ口コミへの冷静で誠実な対応
    事実関係を整理したうえで、患者さんの気持ちに配慮した返信を行い、改善策を講じる。

  • 悪質な投稿への積極的な削除依頼・法的措置の検討
    誹謗中傷や名誉毀損に該当するケースは適切な機関へ相談し、迅速に削除要請や法的手段を講じる。

  • スタッフ教育と接遇改善の徹底
    患者体験を向上させることで、結果的にポジティブな口コミを増やす。

  • 法的留意点を踏まえた情報発信
    守秘義務や広告規制に触れない範囲で、医療機関として誠意あるコミュニケーションを図る。

日々の医療提供と同様に、口コミ対策も「患者さんの安心と満足度を向上させる」という視点で取り組むことが重要です。誤情報やネガティブな書き込みが拡散されても、慌てずに迅速かつ丁寧に対応し、医療機関としての信頼を地道に築き上げることが、地域社会に必要とされる存在であり続ける大きなカギとなるでしょう。結果として、口コミ評価が向上すれば、より多くの患者さんに選ばれる医療機関へと成長していくはずです。

お問い合わせはこちら(全国対応) 虎ノ門法律特許事務所

弁護士 大熊 裕司

誹謗中傷の被害にお悩みの方、誹謗中傷と捉えられてしまう投稿を行なってしまいお悩みの方、まずはお気軽にご相談ください。全国からのお問い合わせに対応しております。

お問い合わせは無料です。お問い合わせの際に、誹謗中傷されている掲示板URLと該当レス番号もお伝えください。

電話でのお問い合わせ
電話対応時間 平日 午前9時~午後9時、土日祝 午前9時〜午後6時
メール・お問い合わせフォームでのお問い合わせ
LINEお問い合わせ

▼ 料金について

相談料

30分 5500円になります。
発信者本人(加害者)の方からのご相談にも応じます。
なお、法律相談後、事件を受任するに至った場合は、法律相談料は不要です。

ネット書込み削除、書込み者特定の費用

投稿記事の任意削除

基本料金:5万5000円~
※サイトや削除件数によって料金が異なります。

投稿記事削除の仮処分

【着手金】 22万円~
【報酬金】0円

発信者情報開示命令申立(書込み者の氏名、住所の開示)

【着手金】44万円~
【報酬金】0円

書込み者に対する損害賠償請求

【示談交渉の場合】
・着手金:16万5000円~
・報酬金:17.6%

【訴訟の場合】
・着手金:22万円~
・報酬金:17.6%

お支払方法について

・クレジットカードでのお支払い可能です。
・分割払い・ローン払い可能です。

この記事が気に入ったら
フォローしよう

最新情報をお届けします

Twitterでフォローしよう

おすすめの記事