VTuberやアバターに対する誹謗中傷と法的問題

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弁護士大熊 裕司
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近年、VTuber(バーチャルYouTuber)やその他のアバターを用いた活動が急速に普及しています。これに伴い、インターネット上での誹謗中傷問題が深刻化しており、その法的な取り扱いについても多くの議論が行われています。特に、VTuberやアバターが直接的に影響を受ける名誉毀損、侮辱、プライバシー侵害、アイデンティティ権の侵害に関する法的課題は重要です。本記事では、これらの問題を解説し、誹謗中傷がどのように法的に処理されるかについて考察します。

1. 名誉毀損・侮辱

名誉毀損や侮辱は、インターネット上の誹謗中傷に対する最も一般的な法的問題の一つです。日本の法律では、他人の名誉を毀損する行為に対して、損害賠償請求(民法710条)や名誉回復措置請求(同法723条)が認められています。また、刑法上も名誉毀損罪や侮辱罪が存在し、公然と他人の名誉を傷つける行為が処罰されることがあります。

(1) 一般的な名誉毀損の成り立ち

名誉毀損が成立するためには、以下の要件が必要です:

  1. 事実の摘示があること:事実を摘示して他人の社会的評価を低下させることが名誉毀損の基本です。この摘示は、事実であればもちろん、意見や論評の表明であっても名誉毀損が成立し得ます。

  2. 社会的評価の低下:誹謗中傷によって、その人物が社会からどのように評価されるかが重要です。社会的評価が実際に低下した場合、名誉毀損が成立します。

  3. 公益性や真実性の判断:場合によっては、摘示された事実が公共の利害に関わる場合や、摘示された内容が真実であることが証明されれば、名誉毀損としての違法性が否定されることもあります。これが、報道の自由や言論の自由とのバランスを保つための重要な要素です。

(2) VTuberやアバターに対する名誉毀損の特殊性

VTuberやアバターの場合、その活動の主体となる人物、いわゆる「中の人」は通常、視聴者には明かされていません。アバターの背後にいる人物が特定できない状況では、その人物の名誉が毀損されるかどうかは曖昧になります。例えば、VTuberのキャラクターに対する誹謗中傷が行われた場合、その中の人の名誉が直接的に侵害されるとは限りません。

ただし、「中の人」が広く知られている場合や、アバターを通じての誹謗中傷が実際の人物に向けられていると受け取られる場合には、名誉毀損が成立する可能性があります。実際に、VTuberの活動がリアルな人物に対する評価を低下させる形で認識された場合、その「中の人」に対する名誉毀損が認められるケースもあります。

(3) 名誉感情の侵害

「名誉感情」とは、自己の人格価値に対する主観的な評価を指します。名誉毀損が社会的評価の低下に重点を置くのに対し、名誉感情の侵害は個人の感情的な被害に焦点を当てます。たとえ社会的な評価が低下しない場合であっても、侮辱的な発言や行為が個人の名誉感情を傷つけた場合、損害賠償の対象となり得ます。

VTuberに関する侮辱的なコメントや投稿が、そのVTuberの「中の人」の人格を直接的に傷つけるものである場合、名誉感情の侵害が認められることがあります。具体的には、実際の人物が特定されないまでも、その活動内容や言動が明らかに個人を標的にしていると判断されれば、名誉感情を損なったとされるケースがあるのです。

2. プライバシー侵害

プライバシー権は、日本において「私生活をみだりに公開されない権利」として法的に保護されています。このプライバシー侵害は、特にVTuberの「中の人」に関する情報が公開される場合に問題となります。

例えば、VTuberの背後にいる人物の本名や住所がインターネット上で公開された場合、それが本人の意図に反するものであれば、プライバシーの侵害が成立する可能性があります。このようなケースでは、損害賠償請求が認められることが多いです。特に、VTuberやアバターを用いた活動はプライバシーが重要な要素となるため、個人情報が不当に公開されることで、深刻なプライバシー侵害が生じることがあります。

(1) VTuberの「中の人」の情報公開のリスク

VTuberの「中の人」が誰であるかを暴露する行為は、プライバシー侵害の最も典型的な事例です。特定のVTuberが顔や声を公開していない場合、その顔写真や本名が公にされることは、その人のプライバシーを大きく侵害することになります。実際に、こうした事例では裁判所がプライバシー侵害を認め、加害者に対して損害賠償を命じた事例があります。

また、VTuberの「中の人」の私生活に関する情報や、意図せずに公開された個人情報が拡散された場合、その情報が一般に知られていないことがプライバシー侵害の成立要件となります。このため、SNSやインターネット掲示板で個人情報が拡散される場合、その内容や方法が法的に問われることになります。

3. アイデンティティ権(なりすまされない権利)

インターネット上で他人のアカウントや名前、アバターを無断で使用する行為、いわゆる「なりすまし行為」は、アイデンティティ権の侵害に該当する可能性があります。アイデンティティ権とは、「他者との関係において人格的同一性を保持する利益」であり、この権利が侵害された場合、法的な保護を求めることができます。

(1) VTuberやアバターにおけるなりすましの問題

VTuberのアバターやアカウントが無断で使用されることは、そのキャラクターの信用や評価を損なう可能性があります。例えば、他人がVTuberのアカウントを使って誹謗中傷や迷惑行為を行った場合、その行為はVTuber本人のアイデンティティを侵害するものとして法的責任を問われることがあります。

裁判例では、他人のアカウントを冒用し、その人物の社会的評価を低下させるような投稿が行われた場合、アイデンティティ権の侵害が認められることがあります。このような場合、加害者に対して損害賠償請求や違法行為の差止めを求めることが可能です。

さらに、VRやメタバース空間でのアバターの無断使用も、アイデンティティ権の侵害として問題視されることがあります。特に、アバターがユーザーの声や動きをリアルタイムで反映する場合、そのアバターは個人の人格を表現する手段とみなされることがあるため、無断使用は深刻な問題を引き起こす可能性があります。

4. プラットフォームの役割と責任

VTuberやアバターの活動が行われるプラットフォームも、誹謗中傷やプライバシー侵害の問題に対して一定の責任を負うことがあります。プラットフォーム運営者がユーザーによる違法行為を把握した場合、迅速かつ適切な対応を取ることが求められます。

(1) プラットフォーム運営者の責任

裁判例では、インターネットオークションやSNSの運営者がユーザーの違法行為を知りながら放置した場合、一定の責任を負うとされた事例があります。特に、ユーザーが詐欺被害に遭った場合、プラットフォーム運営者に注意喚起義務があるとされ、その義務を怠った場合には損害賠償責任が生じる可能性があります。

VTuberが活動するプラットフォームでも同様に、ユーザー間でのトラブルが発生した場合、プラットフォーム運営者が適切な対応を取らなければ法的責任を問われる可能性があります。たとえば、誹謗中傷が繰り返し行われているにもかかわらず、プラットフォームが対応を怠った場合、その責任が追及されることがあります。

まとめ

VTuberやアバターに対する誹謗中傷やプライバシー侵害は、インターネット上での活動が広がる中でますます重要な問題となっています。名誉毀損や侮辱、プライバシー侵害、アイデンティティ権の侵害など、法的な問題は多岐にわたりますが、これらに対する法的措置や裁判例も徐々に積み上げられています。今後も、この分野における法的な進展に注目し、適切な対策を講じることが求められます。

VTuberやアバターを用いた活動が健全に発展していくためには、インターネット上での誹謗中傷やプライバシー侵害に対する理解を深め、法的な手続きを適切に行うことが重要です。プラットフォーム運営者も含め、すべての関係者がこの問題に対して真剣に取り組むことが必要とされています。

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