原則として、ニックネームやハンドルネームは、法的保護の対象に含まれておりません。したがって、ネット上でニックネームなどを書かれて誹謗中傷を受けたとしても、直ちに名誉棄損や侮辱が成立するわけではありません。
ただし、アカウント名としてはニックネームを使用していたとしても、プロフィール写真に自分の顔写真を使用して公開している場合は、実在する「プロフィール写真の人物」に対する誹謗中傷と考えることができますので、開示請求は認められやすくなります。
その他、自分の顔写真を公開しているSNS(インスタグラムなど)のアカウントを紹介している場合にも、インスタグラムを閲覧すれば、そのニックネームの人物が、実在する「インスタグラムで顔写真を公開している人物」であると分かりますので、ニックネームでの誹謗中傷でも、「インスタグラムで顔写真を公開している人物」に対する名誉棄損、侮辱が認められやすくなります。
以上のように、ニックネームやハンドルネームに対する誹謗中傷であっても、個人の情報(顔写真や個人特定できる情報など)をプロフィールに記載しているアカウントならば、「実在する個人」に対する誹謗中傷として対処することが可能です。
しかし、個人情報は一切明らかにしないで、ニックネームやハンドルネームがどこの人物かが第三者からわからないようなアカウントの場合は、個人に対する誹謗中傷とは認められず、開示請求は難しくなります。
どのようなニックネームやハンドルネームならば、法的保護の対象になるかの判断は微妙なものもありますが、ニックネームやハンドルネームを使ってお金を稼いでいるような場合は法的保護の対象となりやすいですが、ネット上だけの利用に留まっているような場合は、法的保護の対象にはなりにくいと思われます。