
ニックネームやハンドルネームで誹謗中傷を受けた場合、相手の情報を特定するための開示請求ができるかどうかは、基本的には難しいとされています。なぜなら、法律上は、実在する人物の名前や顔などの個人を特定できる情報に対する誹謗中傷でなければ、名誉棄損や侮辱として認められにくいからです。
例えば、あなたがTwitterなどのSNSで「さくらんぼ」というニックネームだけを使い、プロフィールにも個人情報を一切載せていないとします。そのような状況で、誰かが「さくらんぼは詐欺師だ」などと誹謗中傷を書き込んだとしても、「さくらんぼ」が実在のどの人物を指すのか、第三者には判断できません。この場合、「特定の個人に対する誹謗中傷」とは認められず、開示請求は認められにくくなります。
しかし、ニックネームが同じ「さくらんぼ」でも、あなたがプロフィール写真として自分の顔を公開していた場合は異なります。この場合は、誰でもあなたの顔写真を見て、特定の実在人物(あなた本人)と認識できるため、「実在するあなた自身」への誹謗中傷とみなされ、開示請求が認められやすくなります。
また、プロフィール欄に自分のInstagramアカウントを載せ、Instagramには自分の顔写真を多数公開しているといったケースでも同じです。この場合も、「Instagramで顔を公開している実在人物」と特定可能になるため、ニックネームに対する誹謗中傷でも開示請求が認められやすくなります。
さらに、YouTuberやインフルエンサーのように、ニックネームやハンドルネームを使って収入を得ているような場合には、そのニックネーム自体が経済的な価値を持つため、法的な保護が認められやすくなります。
まとめると、ニックネームやハンドルネーム単体で法的保護を得るのは困難ですが、
① 自分の顔写真をプロフィールに使っている ② SNSで個人を特定できる情報を載せている ③ ニックネームで収入を得ている(YouTuberやインフルエンサーなど)
このような状況では、「実在する人物への誹謗中傷」と認められ、開示請求が成功する可能性が高くなります。