Threads(スレッズ)での誹謗中傷に対する開示・削除請求について、専門弁護士が解説します。個別のご相談については、お問い合わせください。
Threadsとは
Threads(スレッズ)は、Meta社(旧Facebook社)が2023年7月にリリースしたテキストベースのSNSです。Instagramのアカウントと連携して利用する仕組みで、X(旧Twitter)に代わるテキスト主体のSNSとして注目を集めています。
日本国内でもリリース直後から多くのユーザーが利用を開始しており、2025年以降、利用者の増加に伴い、Threads上での誹謗中傷に関するご相談も増加しています。
Threadsの主な特徴は以下のとおりです。
テキスト中心のプラットフォーム:最大500文字のテキスト投稿が可能で、画像や動画も添付できます。
Instagramとの連携:ThreadsアカウントはInstagramアカウントに紐づいているため、投稿者のInstagramプロフィールから一定の情報を確認できる場合があります。
拡散力:リポスト(引用投稿)機能があり、投稿が短時間で広範囲に拡散される可能性があります。
Fediverseへの対応:ThreadsはActivityPubプロトコルに対応しており、Mastodon等の他のプラットフォームとの相互接続が進んでいます。これにより、Threads上の投稿が他のプラットフォームにも伝播する可能性があります。
Threadsにおける誹謗中傷の類型
テキスト投稿での誹謗中傷
Threadsの投稿(ポスト)で、特定の個人や企業に対する名誉毀損、侮辱、プライバシー侵害にあたる書き込みがなされるケースです。
リプライ(返信)での誹謗中傷
他のユーザーの投稿に対するリプライとして、誹謗中傷のコメントが書き込まれるケースです。
リポスト・引用投稿での誹謗中傷
他のユーザーの投稿を引用して中傷コメントを付加する形式の誹謗中傷です。元の投稿と中傷コメントがセットで拡散されるため、被害が拡大しやすいです。
画像・動画を伴う誹謗中傷
テキストに加えて、盗撮画像やプライバシーを侵害する画像を添付した投稿がなされるケースです。
Threadsの運営元:Meta Platforms, Inc.
Threadsの運営元は、米国カリフォルニア州に本社を置くMeta Platforms, Inc.です。
Meta社は、Facebook、Instagramの運営元でもあるため、発信者情報開示請求や削除請求の手続きにおいては、FacebookやInstagramの場合と同様の対応が基本となります。
なお、Meta社への法的手続きは、海外法人に対する手続きとなるため、国内事業者に対する場合に比べて手続きに時間がかかることがあります。
Threadsでの誹謗中傷に対する削除請求の方法
方法1:Threadsへの直接の報告
Threadsには、コミュニティガイドラインに違反する投稿を報告する機能があります。
該当の投稿の右上にある「…」メニューから「報告」を選択し、報告理由を選択して送信します。Threadsのコミュニティガイドラインでは、ヘイトスピーチ、いじめ・嫌がらせ、暴力的な脅迫などが禁止されています。
ただし、報告に対してThreads側が削除対応するかどうかは、Threads独自のポリシーに基づく判断となります。法的な権利侵害にあたる投稿であっても、Threadsのポリシーに違反していないと判断された場合は削除されないことがあります。
方法2:弁護士を通じた法的な削除請求
Threadsへの報告では削除されない場合、弁護士を通じて法的手続きを行います。
(1)送信防止措置依頼書の送付
情報流通プラットフォーム対処法(旧プロバイダ責任制限法。以下「情プラ法」といいます。)に基づき、Meta Platforms, Inc.に対して送信防止措置依頼書を送付し、投稿の削除を求めます。
なお、2025年4月の情プラ法の施行に伴い、Meta Platforms, Inc.は「大規模特定電気通信役務提供者」に指定されました。これにより、Meta社には権利侵害情報に関する削除等の対応を迅速に行う義務が課されており、被害者からの申出に対して一定期間内に対応結果を通知することも義務付けられています。
(2)仮処分命令の申立て
裁判所に対し、投稿記事の削除を命じる仮処分を申し立てます。裁判所が削除を命じる決定を出した場合、Meta社は通常これに従い、投稿を削除します。
Threadsの投稿者を特定する方法(発信者情報開示請求)
Instagramアカウントとの関係
Threadsの大きな特徴は、Instagramアカウントと連携していることです。Threadsでの投稿は、投稿者のInstagramアカウント情報と紐づいています。
このため、発信者情報開示請求においては、Threads上の投稿に関する情報として、Meta社が保有するInstagramアカウント関連の情報も含めて開示を求めることになります。
手続きの流れ
ステップ1:Meta Platforms, Inc.に対する発信者情報開示命令の申立て
裁判所を通じて、Meta社に対し、投稿者のIPアドレス、アカウント登録時の電話番号・メールアドレス、タイムスタンプ等の開示を求めます。
Meta社はInstagramの運営に関して一定の開示実績があり、裁判所の命令には従う傾向にあります。
ステップ2:接続プロバイダに対する発信者情報開示請求
Meta社から開示された情報(IPアドレス等)をもとに、投稿者が利用しているISP(インターネットサービスプロバイダ)を特定し、当該ISPに対して投稿者の氏名・住所等の開示を求めます。
ステップ3:投稿者に対する法的措置
投稿者の身元が特定された後、示談交渉や損害賠償請求訴訟、刑事告訴等の法的措置を講じます。
Threadsの開示請求における注意点
ログの保存期間:接続プロバイダのログ保存期間(通常3〜6か月)には十分ご注意ください。Threadsでの誹謗中傷を発見した場合は、速やかに弁護士にご相談ください。
Instagramとの連携情報:Threadsアカウントが実名のInstagramアカウントと連携している場合は、投稿者の特定が比較的容易なケースもあります。ただし、匿名のInstagramアカウントから作成されたThreadsアカウントの場合は、通常の発信者情報開示手続きが必要になります。
Fediverseを通じた投稿の場合:将来的にFediverse経由で他のプラットフォームからThreadsに投稿が連携されるケースが増えた場合、開示請求の相手方がMeta社ではなく他のプラットフォーム運営者になる可能性があります。
Threadsでの誹謗中傷への対応にかかる費用の目安
| 手続き | 費用の目安(税込) |
|---|---|
| 投稿記事の任意削除 | 5万5000円〜 |
| 投稿記事削除の仮処分 | 着手金22万円〜 |
| 発信者情報開示命令申立て | 着手金44万円〜 |
| 損害賠償請求(示談交渉) | 着手金16万5000円〜 |
| 損害賠償請求(訴訟) | 着手金22万円〜 |
※ 具体的な費用は事案の内容によって異なります。詳しくはお問い合わせください。
Threadsでの誹謗中傷に関するよくある質問
Q. ThreadsとInstagramで同時に誹謗中傷を受けた場合、別々に対応する必要がありますか?
ThreadsとInstagramはいずれもMeta社が運営しているため、開示請求の相手方は同じMeta Platforms, Inc.です。ただし、Threads上の投稿とInstagram上の投稿はそれぞれ独立したコンテンツですので、削除請求はそれぞれのプラットフォームの投稿について個別に行う必要があります。開示請求については、同一の手続きの中で両プラットフォームに関する情報の開示を求めることが可能な場合があります。
Q. Threadsの投稿をスクリーンショットで保存するだけで証拠として十分ですか?
スクリーンショットは重要な証拠ですが、投稿のURL、投稿日時、投稿者のアカウント情報がすべて確認できるように保存することが大切です。可能であれば、画面録画も併用して証拠を保全することをお勧めします。投稿者が投稿を削除してしまうと証拠が失われるため、発見後はできるだけ早く証拠を保全してください。
Q. Threadsでブロックすれば問題は解決しますか?
ブロックにより、ブロックした相手からの投稿やリプライが自分に表示されなくなります。しかし、ブロックしても相手の投稿自体が削除されるわけではなく、他のユーザーからは引き続き閲覧可能です。誹謗中傷が続いている場合は、ブロックだけでは根本的な解決にならないため、法的手続きによる対応を検討されることをお勧めします。
Q. Threadsへの開示請求はInstagramよりも難しいですか?
ThreadsもInstagramも同じMeta社が運営しているため、開示請求の手続きの難易度に大きな違いはありません。Meta社に対する発信者情報開示命令の手続きについては、Instagramの場合と同様に対応が可能です。ただし、Threadsは比較的新しいサービスであるため、裁判例の蓄積はInstagramに比べると少ない状況です。


