誹謗中傷の具体例

誹謗中傷の具体例
Slander

同定可能性

同定可能性とは

誹謗中傷対策(削除・発信者情報開示)をするにあたって、前提として、「同定可能性」が認められるか、という問題をクリアする必要があります。「特定可能性」といわれることもありますが、どちらも同じ意味です。

自分以外の第三者(裁判では、「一般読者」「一般閲覧者」などといいます)から見て、自分のことが誹謗中傷されていると理解できる必要があるという意味です。名誉毀損やプライバシー侵害を問題としている以上は、第三者から見て誰のことを言っているか明らかでない投稿は、「同定可能性」が認められないとして、削除や発信者情報開示請求が認められないことになります。

「一般読者」「一般閲覧者」とは

「一般読者」という基準は、かつて新聞報道による名誉毀損の成否が問題となった事例で、裁判所が採用した判断基準です。
昭和の時代には殆どの家庭が新聞を定期購読していたという事情から、「一般読者」=「一般国民」という意味合いで捉えられていました。このような理解からは、自分が「一般国民」から認識されている必要があることになります。

しかし、インターネット上の誹謗中傷が問題となっているケースでは、「一般読者」=「一般国民」と理解するのではなく、「一般読者」=「自分のことが書かれた掲示板などの閲覧者」と理解し、自分のことを知っている人々から自分についての書き込みであると特定できるかという基準で考えらえています。

源氏名の場合

ホストラブ(ホスラブ)、爆サイ、5ちゃんねる(2ちゃんねる)等の匿名掲示板では、本名ではなく源氏名によって誹謗中傷がなされることが多いです。
裁判実務上、源氏名でも同定可能性が認められれば、名誉毀損などの権利侵害は成立しするとされています。同定可能性を証明する方法としては、お店の名刺、給与明細、ホームページのプロフィール画像、従業員名簿、陳述書により証明することになります。

風俗店などでは、本名ではなく源氏名で仕事をするのが通常であり、お客も店員も本名ではなく、源氏名でキャスト、コンパニオン、ホストを特定しており、同じ店舗内に同じ源氏名のキャストなどは存在しませんので、同定可能性は認められやすいといえます。

ニックネーム、ハンドルネームなどの場合

SNSやYouYube、ネット配信ゲーム(eスポーツ)などでは、本名ではないニックネームやハンドルネームを使って情報発信しているかたも多くいます。
ニックネームやハンドルネームで誹謗中傷されている場合でも、同定可能性が認められるばらば、違法な投稿として削除や発信者情報開示請求が認められます。

どのような場合に同定可能性が認められるかですが、例えば、プロフィール画像として自分の顔写真を使用している場合、プロフィール欄に自分を特定できる情報を掲載している場合(「私は、東京都港区で株式会社Aを経営しています」など)です。

それ以外の情報でも、当該ニックネームやハンドルネームを使用している者が現実に存在する人物と特定可能であれば、同定可能性は認められます。
逆に、自分であることが特定できるような情報を公表していないニックネームやハンドルネームで誹謗中傷を受けている場合は、被害者本人は自分に対する誹謗中傷だと認識できても、「一般読者」からはそのニックネームやハンドルネームが誰なのか特定できませんので、同定可能性は認められないことになります。

伏せ字の場合

誹謗中傷の相談の中には、本名や会社名、源氏名をそのまま書くのではなく、一部を伏せ字にして投稿されているものもあります。例えば、「A商店」を話題の対象としているスレッドに「鈴木○郎」と書かれていた場合、「鈴木○郎」に該当する人物が「鈴木一郎」しかいないならば、「A商店」の「鈴木○郎」=「鈴木一郎」と特定できます。

しかし、「A商店」には「鈴木一郎」のほか「鈴木三郎」もいる場合は、「A商店」の「鈴木○郎」は一人に絞り込むことができませんので、直ちには同定可能性が認められないことになります。
このような場合、「鈴木一郎」の肩書、年齢、所属部署などが書かれているならば、「A商店」の「鈴木○郎」=「鈴木一郎」と特定できることもあります。

リンクでの誹謗中傷

他人の写真を貼り付けた場合は「著作権侵害」になります。
ただし、リンクを貼る行為、リツイートは「複製」行為がないため、著作権侵害にはなりませんが、リンク先に名誉毀損となる情報が書かれていた場合は名誉毀損、顔写真が見れる状態だった場合は肖像権侵害、プライバシー情報が書かれていた場合はプライバシー権侵害となります。

個人が被害者の場合

誹謗中傷の被害者が個人の場合、以下のような権利侵害を理由に、投稿記事の削除や発信者情報の開示を請求します。

名誉毀損

名誉毀損とは

権利侵害の中で最も数が多いのが名誉毀損を理由とするものです。名著毀損とは、ある具体的な事実を書いて、その対象者の社会的評価(名誉)を低下させることです。
インターネット上の書き込みは、短い文章で書かれることが多いので、具体的な事実といっても詳細にわたって書かれることは少ないです。それでも、「Aは不倫をしている」「Bは薬中だ」などといった短い表現でも、一般読者(閲覧者)はその意味を理解することができますので、名誉毀損は成立します。

上記のように、具体的な事実が摘示されていない投稿は名誉毀損にはならいません。例えば、「ブス」「ババア」「デブ」などの容姿に関する投稿、「料理がまずい」「サービスが最低」などの投稿は、対象者に関する具体的な事実を書いているわけではないので、名誉毀損にはなりません。このような書き込みの場合は、下記名誉感情侵害(侮辱)の問題となります。

違法性阻却事由がないこと

名誉毀損を理由に削除・発信者情報開示請求をする場合、違法性阻却事由(名誉毀損の違法性が否定される理由)がないことも証明する必要があります。
名誉毀損の違法性が否定されるのは、投稿内容が①公共の利害に関する事実であり、②もっぱら公益を図る目的であり、③摘示された事実が真実であることが証明された場合です。

具体的には、犯罪行為に関する投稿は、①公共の利害に関する事実であり、②もっぱら公益を図る目的であるともいえますので、③摘示された事実が真実でないことを証明する必要があります。
他方、「AはXと不倫をしている」という投稿は、③「AはXと不倫をしている」という摘示された事実が真実であったとしても、①公共の利害に関する事実であるとはいえず、②もっぱら公益を図る目的であるともいえませんので、名誉毀損は成立することになります(このような私的な出来事について、インターネットで公表する必要はないと判断されます)。

名誉感情侵害

名誉感情侵害とは

具体的な事実を摘示して、その人の社会的評価を低下させるのが名誉毀損ですが、具体的な事実を摘示しないで他人を侮辱することを名誉感情侵害といいます。「バカ」「ブス」「死ね」などの具体的な事実を伴わない侮辱的な表現です。

名誉感情侵害が成立する場合

最高裁(最判平成22年4月13日)は、社会通念上許される限度を超える侮辱行為であると認められる場合に人格的利益の侵害が認められ得るとしています。
名誉感情は個人が抱く主観的な感情であって、その侵害を一律に決めることは難しく、「社会通念上許される限度を超える侮辱行為」という表現が用いられています。

したがいまして、一言侮辱的な表現がなされただけでは名誉感情侵害は成立せず、それが許容限度を超えると判断されてはじめて、名誉感情侵害が成立するとされています。

プライバシー侵害

プライバシーとは

プライバシー権は,他人に知られたくない私的な事項をみだりに公表されないという利益を保護するもので、そうした利益が保護されるためには、①公表された事実が私生活上の事実又は私生活上事実らしく受け取られるおそれのある事柄であること(私事性)、②一般人の感受性を基準として公開を欲しないであろうと認められる事柄であること(秘匿性)、③一般の人々に知られていない事柄であること(非公知性)が必要です。
上記のようなプライバシーに該当する情報は多種多様であるといえますが、具体的な住所や電話番号、源氏名やニックネームで活動している人の本名、離婚していること、整形手術をしたことなどはプライバシー情報といえます。

プライバシー侵害が成立する場合

一般人の場合、上記のようなプライバシー情報が投稿された場合、そのような情報をインターネット上で公開する正当な利益は通常認められませんので、プライバシー侵害が成立するケースが多いと思います。

なお、公人(政治家など)や芸能人は、一般人に比べて保護されるプライバシーが制限されると理解されています。公人の場合は、ある程度プライバシーを国民に明らかにすることが求められ、芸能人は自己のプライバシーを明らかにすることも芸能活動の一環と考えられているからです。
しかし、公人や芸能人であってもプライバシー権は認められており、純粋に私的な事項であり、他人に知られていない情報をむやみに公開する投稿は、プライバシー侵害が成立するといえます。

肖像権侵害

肖像権とは

肖像権について規定した法律上の規定はありませんが、最高裁判所は、「人は、みだりに自己の容ぼう等を撮影されないということについて法律上保護されるべき人格的利益を有する。もっとも、人の容ぼう等の撮影が正当な取材行為等として許されるべき場合もあるのであって、ある者の容ぼう等をその承諾なく撮影することが不法行為法上違法となるかどうかは、被撮影者の社会的地位、撮影された被撮影者の活動内容、撮影の場所、撮影の目的、撮影の態様、撮影の必要性等を総合考慮して、被撮影者の上記人格的利益の侵害が社会生活上受忍の限度を超えるものといえるかどうかを判断して決すべきである。」としています(最高裁判所平成17年11月10日判決)。
このように、最高裁は、肖像権という表現を用いていませんが、肖像権を認めていると理解できます。

なお、インターネット上の誹謗中傷において肖像権が問題となるのは、写真や動画で自分の顔写真が公開(プロフィール写真として使用された場合(なりすまし)も含みます)されたような場合です。

肖像権侵害が成立する場合

インターネット上で自分の顔写真が公開される態様は、①本人の同意なく顔写真が撮影された場合、②撮影自体には本人の同意があったが、インターネットで公開することについては同意がなかった場合、③インターネット上に公開することは同意していたものの、別のサイトに転載された場合などがあります。
上記のような多様な侵害態様があり得ますので、一律に肖像権侵害の成否が決まるものではなく、上記最高裁判決が述べるように、
①被撮影者の社会的地位
②撮影された被撮影者の活動内容
③撮影の場所
④撮影の目的
⑤撮影の態様
⑥撮影の必要性
などを総合的に考慮して判断されます。

公人でも芸能人でもない人が、自分の顔写真を無断で投稿されたような場合は、通常嫌がらせ目的であることが多いことから、肖像権侵害が成立するケースが多いといえます。

法人が被害者の場合

名誉毀損は成立する

法人(会社)に対する誹謗中傷であっても、名誉毀損は成立します。ある具体的な事実を書かれており、法人(会社)の社会的評価(名誉)を低下させる場合は、名誉毀損が成立します。
個人に対する名誉毀損と同様、投稿内容が①公共の利害に関する事実であり、②もっぱら公益を図る目的であり、③摘示された事実が真実であることが証明された場合は、違法性が阻却され、違法性が否定されます。

それ以外の請求は認められにくい

名誉感情、プライバシー権、肖像権は人間個人に対してのみ認められている権利であるため、法人(会社)に対する名誉感情侵害、プライバシー侵害、肖像権侵害は認められません。

営業権侵害

インターネット上で、法人(会社)に対する営業妨害、業務妨害になるような書き込みがされた場合、名誉毀損のほかに、営業権侵害を理由に書き込みの削除や発信者情報の開示を請求することもあります。
ただし、営業権に関する法律上の明文規定はなく、最高裁もこの点明確に述べているものはありませんので、実務上は名誉毀損を理由として削除や開示請求をするのがスムーズといえます。

法人の代表者・社員に対する誹謗中傷

法人の代表者(社長)に対する誹謗中傷

法人(特に中小企業)に対する誹謗中傷には、社長個人に対する誹謗中傷が書き込まれるケースも多いです。
このような場合、社長個人が被害者として書き込みの削除や開示請求をすることができるのは当然ですが、書き込みの内容が会社の業務に関連するものである限り、法人名義で削除や開示請求をすることも可能です。

法人の役員・社員に対する誹謗中傷

法人(会社)で働いている役員・社員を名指して誹謗中傷している書き込みに対しては、当該役員・社員が被害者といえますので、当該役員・社員個人が被害者として書き込みの削除や開示請求をすることになります。
もっとも、その書き込みに役員・社員の名前が書かれていたとしても、法人に対する誹謗中傷であると認められる場合は、法人名義で削除や開示請求をすることも可能です。

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料金

相談料

30分5000円(税抜)になります。
発信者本人(加害者)の方からのご相談にも応じます。
なお、法律相談後、事件を受任するに至った場合は、法律相談料は不要です。

ネット書込み削除、書込み者特定の費用

投稿記事の任意削除

基本料金:3万円(税抜)~
※サイトや削除件数によって料金が異なります。

仮処分(投稿記事削除、IPアドレスの開示)

【着手金】 20万円(税抜)~
【報酬金】0円

発信者情報開示請求訴訟(書込み者の氏名、住所の開示)

【着手金】20万円(税抜)~
【報酬金】0円

書込み者に対する損害賠償請求

【示談交渉の場合】
・着手金:10万円(税抜)~
・報酬金:10~16%

【訴訟の場合】
・着手金:10万円(税抜)~
・報酬金:10~16%

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