未成年者が巻き込まれる誹謗中傷の実態と保護者がすべき対応

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弁護士大熊 裕司
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近年、インターネットやSNSの普及により、子どもたちがスマートフォンやパソコンを使ってコミュニケーションを取る機会が飛躍的に増加しました。しかしその一方で、未成年者がネット上で誹謗中傷の被害に遭うケースも深刻化しています。従来ならば身近なコミュニティだけで完結していたトラブルが、SNSという匿名かつ不特定多数へ発信できる手段を介することで一気に拡散し、取り返しのつかない事態につながることもしばしばです。本記事では、未成年者が巻き込まれる誹謗中傷の実態やその背景を解説するとともに、保護者として取るべき具体的な対応策について詳しくご紹介します。

1.未成年者が巻き込まれる誹謗中傷の現状

  1. SNSの利用率増加と早期化
    総務省や文部科学省の調査によれば、小学生高学年からスマートフォンを所有する子どもたちが増えており、中学生・高校生ではSNS(InstagramやX(旧Twitter)、TikTokなど)を日常的に利用しているケースが大半を占めるようになっています。大人と同様に、未成年者もSNSを通じて気軽にコミュニケーションを図る一方で、そこには常に「誹謗中傷リスク」が潜んでいます。しかも彼らは情報リテラシーが十分身につかないままSNSを使うことが多く、トラブルに巻き込まれやすいのが実情です。

  2. 匿名性と拡散力がもたらす深刻化
    SNS上のやり取りでは、相手の顔が見えないため言葉が過激になりがちで、誹謗中傷やいじめ行為が繰り返される危険性があります。また、学校内や特定のグループで始まった誹謗中傷が、SNSの拡散力によって一気に外部へ広がってしまうといった問題も見受けられます。とりわけ子どもたちは「何が法的に問題になるのか」という判断が難しく、悪意の有無を問わず、軽い気持ちで書き込んだことが深刻な事態を引き起こすこともあります。

  3. 被害の長期化と深刻化
    ネット上の誹謗中傷は、一度拡散されると完全な削除が難しいという特徴があります。「一度投稿した文章や画像は消せない」というリスクを認識していない子どもたちも多く、誹謗中傷の被害や加害をめぐって長期的に苦しむケースが少なくありません。さらに、こうしたトラブルは精神面でも大きなダメージを与え、学校生活にも支障をきたすことになります。

2.なぜ未成年者が誹謗中傷の被害に遭いやすいのか

  1. 情報リテラシー教育の不十分さ
    インターネットやSNSの使い方を教える「情報リテラシー教育」は、学校現場でも取り組まれていますが、実際には学習内容が体系的ではなかったり、保護者が十分理解していなかったりする場合が多々あります。結果として、「悪口や嫌がらせを書き込むとどのようなリスクがあるのか」「不特定多数の目に触れる場所で個人情報を晒すとどうなるのか」などの認識が浅いまま利用してしまい、自分が加害者にも被害者にもなりやすい状況を生み出しています。

  2. 未成熟なコミュニケーション能力
    思春期の子どもたちは感情が揺れ動きやすく、人間関係で悩みを抱えやすい時期です。衝動的に書き込んだり、友達同士のささいな言い争いがすぐにネット上へ持ち込まれたりすることで、誹謗中傷に発展してしまうことがあります。また、未成年者は「言われたくないことを言われる」と過剰反応しがちで、結果として対立が先鋭化し、双方が誹謗中傷の投稿合戦に巻き込まれる危険性も否定できません。

  3. 自己主張と仲間外れへの恐怖
    同年代の友達から仲間外れにされることを恐れるあまり、あるいは自分の存在感を示したいという思いから、極端な投稿をしてしまうケースもあります。SNSのコミュニティには独自のルールや空気感が存在するため、「自分も同調しないとグループから外される」という心理が誹謗中傷への加担を生むことがあります。また、被害に遭っている友達をかばうことで自分も標的になるのではないかと考え、誹謗中傷を静観してしまい、結果としていじめが深刻化する場合も少なくありません。

3.誹謗中傷被害がもたらす子どもへの悪影響

  1. 精神的ストレスと自己肯定感の低下
    誹謗中傷を受けた子どもは、日々の学校生活や友人関係において「自分はダメな人間なのでは」と自己評価を極端に下げてしまいます。また、SNSを開くたびに嫌がらせのメッセージやコメントが目に入ると、精神的に追い詰められ、無気力や不登校、うつ状態に陥る可能性も高まります。

  2. 学業や生活習慣への影響
    強いストレスを感じると、授業に集中できずに成績が下がったり、夜に誹謗中傷の書き込みを確認することで睡眠不足になったりすることもあります。さらに、周囲に相談できずに一人で悩みを抱え込む場合、保護者や教師の目が届きにくい場所で問題が深刻化していくことがあります。

  3. 長期的なトラウマ
    ネット上の誹謗中傷は、証拠が残りやすく、被害者側にとっては「何度も同じ嫌がらせを思い出してしまう」という状態に陥りやすいのが特徴です。大人でも深刻な苦痛を覚える誹謗中傷を未成年が経験した場合、それがトラウマとなり、人間関係に消極的になったり将来の進路選択にも影響が及んだりするなど、長期にわたり心理的負荷をもたらすことがあります。

4.保護者がとるべき具体的な対応策

  1. 子どものオンライン環境を把握する
    まず、保護者として子どもがどのSNSやアプリを利用しているのか、どのようなコミュニティに属しているのかを大まかに把握しておくことが重要です。保護者自身がSNSやアプリの基本的な仕組みや設定方法を理解しておくと、誹謗中傷が発生した際の早期発見や対応につながります。
    ただし、あまりに厳しく監視する姿勢を見せると、子どもとの信頼関係が損なわれる恐れもあるため、適度な距離感を保ちつつコミュニケーションを図ることが大切です。

  2. 子どもとのコミュニケーションを密にする
    「誹謗中傷があったらすぐに相談してほしい」「困ったことは一人で抱え込まないでほしい」というメッセージを、日頃から子どもに伝えておきましょう。子どもにとって親が「何でも話せる相手」であると感じられれば、誹謗中傷被害が起きた際に早めにSOSを出してくれます。
    さらに、日常の会話の中でSNSの使用状況を自然に把握し、「ネット上のやり取りで嫌なことはなかったか」など、具体的に質問する習慣を持つことも大切です。

  3. 証拠確保とスクリーンショットの保存
    もし誹謗中傷があった場合、将来的に法的措置を検討することも視野に入れて、すぐに該当する投稿やメッセージのスクリーンショットを保存しましょう。誹謗中傷は書き込んだ本人が後から削除してしまう可能性も高いため、投稿内容が確認できる画面の保存は極めて重要です。書き込み日時やアカウント名なども合わせて記録しておくと、後々の調査や手続がスムーズになります。

  4. 学校や専門家に相談する
    子どもが誹謗中傷を受けているとわかったら、早めに学校の担任教師やカウンセラーへ相談しましょう。学校内のいじめ対策委員会などに報告することで、校内での対策や加害側への指導が期待できます。
    また、状況が深刻であったり、子どもが大きな精神的ダメージを受けているような場合には、迷わず医療機関や弁護士などの専門家に相談を検討してください。特に誹謗中傷の被害が大きく、加害者の特定や削除請求、損害賠償請求などの手続を要する場合は、弁護士に依頼することでスピーディかつ適切な対応が可能となります。

  5. セキュリティ設定の見直しとSNS利用ルールの構築
    誹謗中傷の被害を最小限に抑えるためには、SNSのプライバシー設定を見直すことも不可欠です。アカウントを「非公開」にする、見知らぬ相手とのやり取りを制限する、投稿の公開範囲を限定するなど、利用するSNSごとに最適な設定を行いましょう。
    さらに、家族でSNS利用のルールを決めておくことも有効です。例えば「夜10時以降はSNSを見ない」「個人情報や顔写真をむやみに公開しない」といったルールを設定することで、トラブルリスクを軽減できます。

  6. 子どもの気持ちに寄り添いながら適切に対処する
    誹謗中傷の被害に遭った子どもは、不安や恐怖心、怒りなど複雑な感情を抱えている可能性が高いです。保護者が焦って状況を責めたり、感情的に子どもを問い詰めたりすると、かえって子どもが心を閉ざすおそれがあります。まずは子どもの気持ちに寄り添い、落ち着いて話を聞く姿勢が大切です。子どもが安心できる環境を整えながら、必要に応じて警察や弁護士など専門家への相談を促すと良いでしょう。

5.法的措置の可能性と注意点

  1. 発信者情報開示請求による加害者の特定
    ネット上の誹謗中傷に対しては、投稿者のIPアドレスやログ情報をもとに「発信者情報開示請求」を行い、加害者を特定する手続きが考えられます。この手続は未成年者が直接行うのは困難な場合が多いため、保護者が弁護士に相談し、代理で手続きを進めることが一般的です。証拠不十分であったり、時間が経ちすぎてログが保存されていないと、特定が難しくなるケースもあるため、早めの行動が肝心です。

  2. 削除請求と差止請求
    誹謗中傷の投稿が拡散されている場合、削除請求や今後の掲載差止請求を行うことも検討すべきです。SNSの運営会社やプロバイダに対して削除依頼をすることにより、被害の拡大を抑えることが期待できます。ただし、これらの手続には一定の証拠や法的根拠が必要なため、専門家のサポートを得るとスムーズです。

  3. 刑事告訴や慰謝料請求
    誹謗中傷が「侮辱罪」「名誉毀損罪」などに該当すると認められる場合、刑事告訴が可能になる場合もあります。特に悪質なケースでは、子どもの身を守るためにも加害者側の行為を止めさせる狙いで刑事告訴や示談交渉に踏み切ることがあります。また、被害の程度に応じて慰謝料請求を検討するケースもあり、その際は法的アドバイスを受けることが望ましいでしょう。

6.未成年者を守るために保護者ができる予防策

  1. 情報リテラシー教育の強化
    誹謗中傷リスクを下げるには、子ども自身がSNSやインターネットの正しい使い方を学ぶことが必要です。学校の授業や保護者向け講習会に積極的に参加し、子どもと一緒にSNSのリスクや対策を共有すると効果的です。たとえば「他人を傷つける可能性がある投稿をしない」「知らない人からのメッセージには安易に返信しない」「パスワードを使い回さない」といった基本的なことから、具体的なケーススタディまで幅広く学びましょう。

  2. 信頼関係に基づく管理とルールづくり
    未成年者のSNS利用をコントロールする際には、単に「親が監視する」「使わせない」といった一方的な制限ではなく、ある程度は子どもの自主性を尊重しつつ、信頼関係のもとにルールを作ることが大切です。例えば、利用時間やSNSでの言動について親子で話し合い、それを守れなかった場合のペナルティも含めて明文化しておくと、お互いに納得しやすくなります。

  3. 定期的なフォローと状況確認
    SNS利用のルールを決めても、一度きりの取り決めで終わらせるのではなく、定期的に子どもと話し合って状況を確認することが必要です。子どもがいつの間にか別のSNSアカウントを取得したり、トラブルに巻き込まれていたりすることもあります。保護者が柔軟に情報をアップデートし、適宜アドバイスできる体制を整えておくと、未然に誹謗中傷を防ぐ効果が期待できます。

7.まとめ

 未成年者が巻き込まれる誹謗中傷は、SNSやインターネット利用が当たり前になった社会では決して珍しいことではありません。特に子どもたちは情報リテラシーが十分に身についていないため、軽い気持ちで発した言葉や書き込みによって深刻なトラブルに発展してしまうことがあります。また、被害を受ける側の子どもは精神的・身体的な苦痛だけでなく、学業や友人関係、さらには将来にも影響が及びかねません。

 保護者としては、まず子どもとの信頼関係を築き、誹謗中傷に関するリスクや対処法を日頃から話し合っておくことが不可欠です。そして万が一、子どもが誹謗中傷に巻き込まれたり、あるいは加害側になってしまったりした場合、できるだけ早く専門家や学校に相談し、適切な法的措置や削除請求などの手段を講じる必要があります。

 ネット上のトラブルは拡散力が大きく、一度炎上してしまうと収束に時間と労力がかかります。だからこそ、日頃からの予防策や早期発見、適切なコミュニケーションが大きな意味を持つのです。子どもを誹謗中傷から守り、安心してSNSを活用できる環境を整えるためにも、保護者は積極的に学び、そして子どもと向き合う姿勢を大切にしていきましょう。

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