この記事のポイント(3行まとめ)
- 発信者情報開示請求の費用は「裁判所に納める実費」と「弁護士費用」に分かれ、実費は数千円、弁護士費用が中心になる
- 当事務所では開示命令の着手金22万円〜・報酬金0円、投稿記事の任意削除33,000円〜など、料金を事前に明示している
- 開示にかかった費用を投稿者に請求できるかは裁判例が分かれており、知財高裁令和7年6月2日判決は「原則全額」を退けて20万円の限度で認めた
SNSや匿名掲示板で誹謗中傷を受け、投稿者を特定したいと考えたとき、最初に気になるのが「費用はいくらかかるのか」です。発信者情報開示請求は裁判所を使う手続であるため、実費と弁護士費用の両方が発生します。この記事では、費用の内訳、当事務所の料金、そして「かかった費用を投稿者に請求できるのか」という点まで、数字を示して解説します。
発信者情報開示請求とは
発信者情報開示請求とは、SNS・掲示板・ブログなどに権利侵害にあたる投稿をした匿名の投稿者について、サイト運営者(コンテンツプロバイダ)や通信事業者(アクセスプロバイダ)に氏名・住所などの開示を求める手続です。
根拠法は、長く「プロバイダ責任制限法」と呼ばれてきましたが、2024年(令和6年)の改正で2025年(令和7年)4月1日から「情報流通プラットフォーム対処法(情プラ法)」に名称が変わりました。現在の標準的な手続は、裁判所に申し立てる発信者情報開示命令(非訟手続)です。手続の全体像は発信者情報開示請求とは|費用・期間・手続の流れで解説しています。
費用の内訳 — 実費と弁護士費用
費用は大きく2つに分かれます。
1. 裁判所に納める実費
- 収入印紙:開示命令の申立て1件につき1,000円
- 郵便切手(予納郵券):裁判所により異なりますが、おおむね数千円
実費は合計でも数千円程度で、費用全体に占める割合は小さいものです。
2. 弁護士費用
費用の中心は弁護士費用です。一般に「着手金」(依頼時に支払う費用)と「報酬金」(結果に応じて支払う費用)に分かれ、事務所によって金額も体系も異なります。開示請求は、①サイト運営者へのIPアドレス等の開示、②通信事業者への氏名・住所の開示、という段階を踏むことが多く、段階ごとに費用が設定されている事務所もあります。
当事務所の料金
虎ノ門法律特許事務所では、ご依頼の前に費用を明示しています。誹謗中傷対策に関する主な料金は次のとおりです(税込)。
| 内容 | 着手金 | 報酬金 |
|---|---|---|
| 投稿記事の任意削除(裁判外の削除請求) | 基本料金 33,000円〜 ※サイトや削除件数によって異なります | |
| 仮処分・発信者情報開示命令(投稿記事の削除、IPアドレスの開示) | 22万円〜 | 0円 |
| 発信者情報開示命令(投稿者の氏名・住所の開示) | 22万円〜 | 0円 |
| 投稿者に対する損害賠償請求(示談交渉) | 11万円〜 | 11〜17.6% |
| 投稿者に対する損害賠償請求(訴訟) | 16万5,000円〜 | 11〜17.6% |
- 法律相談料:30分5,500円。法律相談後に事件を受任した場合、相談料はいただきません。LINE・メール・電話でのお問い合わせは無料です
- お支払方法:現金・銀行振込・クレジットカード・分割払い・ローン契約に対応しています
最新の料金と詳細はお問い合わせ・料金についてをご覧ください。
開示にかかった費用は投稿者に請求できるか
「開示請求にかかった弁護士費用を、特定した投稿者に払わせることはできないのか」というご質問を非常に多くいただきます。
結論からいえば、一部は認められることが多いものの、全額が認められるとは限りません。
知財高裁令和7年6月2日判決 — 「原則全額」を退け20万円に限定
知的財産高等裁判所は令和7年(2025年)6月2日、「開示費用は特段の事情がない限り全額が損害になる」という被害者側の主張を退け、支出した費用のうち20万円の限度で賠償を認めました(知財高判令和7年6月2日・令和6年(ネ)第10088号)。事案は著作権侵害(商品写真の無断使用)でしたが、判決は「発信者情報開示手続の性質、内容等に照らし」て相当因果関係のある範囲を判断しており、誹謗中傷の事案にも同じ考え方が及びます。
一方で、開示費用の全額を認めた裁判例や、投稿者が複数いる場合に費用を按分して認めた裁判例もあり、裁判所の判断は分かれています。法務省が令和8年(2026年)4月に公表した調査報告書でも、開示請求等費用を独立の損害として請求した事案の認容状況が集計されています。
これらの裁判例の詳細は発信者情報開示の費用は投稿者に請求できるかで整理しています。
実務上の考え方
開示費用の回収は「見込めるが確実ではない」ものとして、費用計画を立てるのが現実的です。損害賠償請求では、開示費用のほかに慰謝料(名誉毀損・名誉感情侵害)や訴訟の弁護士費用相当額も請求対象になりますので、全体として何をどこまで請求するかを、開示前の段階で弁護士と整理しておくことをおすすめします。
費用を無駄にしないためのポイント
1. 証拠を先に確保する
問題の投稿は削除される可能性があります。URL・投稿日時が分かる形でスクリーンショットを保存しておくと、その後の手続が滞りなく進みます。
2. 開示が認められる見込みを最初に見極める
開示が認められるには、投稿が権利侵害にあたることが明らかであるなどの要件があります。要件を満たさない投稿に費用をかけても開示は得られません。当事務所では、ご相談の段階で「開示が認められる見込みがあるか」「どの手続が適切か」をお伝えしています。
3. 期間を意識する
通信事業者のログ保存期間は限られており、投稿から時間が経つほど特定が難しくなります。費用の検討と並行して、早めに動くことが結果的に費用の無駄を防ぎます。
媒体によって費用は変わるか
爆サイ・ホスラブ・Google口コミ・X(旧Twitter)・Instagram など、媒体ごとに「どこに、どの手続で開示を求めるか」は異なります。国内の掲示板であっても仮処分などの裁判手続が必要になるものが多く、海外事業者が運営するSNSでは送達等に追加の手間と期間がかかります。当事務所の料金は上記の体系を基本としつつ、媒体や件数に応じて事前にお見積りしますので、お問い合わせの際に対象の媒体とURLをお知らせください。媒体別の対応はサイト別の誹謗中傷対策にまとめています。
当事務所の対応について
虎ノ門法律特許事務所は、発信者情報開示請求に関する案件を数多く取り扱ってきました。
- 実績:過去100件以上の開示請求案件を担当
- 期間:開示命令の取得まで平均4〜5か月
- 費用:上記のとおり料金を事前に明示。お支払いはクレジットカード・分割払いにも対応
- 相談料:30分5,500円(税込)。受任に至った場合は相談料不要。LINE・メール・電話でのお問い合わせは無料
発信者情報開示請求についてのご質問・ご相談は、お問い合わせページからご連絡ください。
よくある質問(FAQ)
Q. 開示請求にかかる期間はどのくらいですか?
開示命令の手続では、当事務所の場合、開示命令の取得まで平均4〜5か月です。事案やプロバイダの対応により前後します。
Q. 開示にかかった費用は投稿者に全額請求できますか?
裁判例は分かれています。知財高裁令和7年6月2日判決は「原則全額」を退けて20万円の限度で認めました。全額を認めた例・按分した例もあり、一部の回収は見込めるものの全額は保証されません。
Q. 複数の書き込みについてまとめて開示請求できますか?
同一の投稿者による書き込みであれば、一度の申立てでまとめて開示を求められる場合があります。投稿ごとに権利侵害の説明は必要です。
Q. 海外のプロバイダ経由の場合はどうなりますか?
海外事業者が相手方となる場合、送達などに追加の手間と期間がかかります。日本国内に子会社・支店がある事業者では国内送達で進められる場合もあります。
Q. 弁護士費用を分割払いできますか?
はい。クレジットカード・分割払い・ローン契約に対応しています。
本記事は2026年8月時点の法令・料金に基づいています。料金は変更されることがありますので、最新の情報はお問い合わせ・料金についてでご確認ください。


